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BRIDGESTONEのRP9、カスタム納車させて頂きました。

BRIDGESTONEのRP9、カスタム納車させて頂きました。

2024/01/05

ロードバイクのDISCへの移行も、カタログ上、ラインアップ上は完了といった雰囲気ですが、
実際のところはどの程度の人数が乗り換えや増車をしたんでしょう。
私の周辺では40%~45%といったところです、多いのか少ないのかわかりませんが。

今回は、福岡店走行会メンバーのHさんがDISCロードを増車と同時にゴリゴリのカスタムを施したので記事にしようと思います。

ちょこちょこミーティングを行いながら、最終的に一か月くらいかけて煮詰めました。
とは言え、お互いせっかちさん(鼠年)なのでサクサクと決まった方だと思います。

フレームの選定条件ですが、
①モデルチェンジから年数が経っていないモデル、もしくは息の長いモデルになりそうなフレーム。
②非エアロのフレームは沢山持ってられるので、エアロかセミエアロのフレームにすること、登坂モデルは見ない。
この2つを条件として、ピックアップしていきました。

候補に挙がったモデル達

・GIANT PROPEL ADVANCED SL
・GIANT TCR ADVANCED SL
・FOCUS 発表されたばかりのIZALCO MAX
・FACTOR OSTRO VAM
・BRIDGESTONE RP9
・RIDLEY NOAH FAST

一次選考(在庫・納期)
・GIANT PROPEL ADVANCED SL 適正サイズ在庫なし入荷なし
・GIANT TCR ADVANCED SL 適正サイズ在庫なし入荷なし
・FOCUS 発表されたばかりのIZALCO MAX 予約可能
・FACTOR OSTRO VAM 適正サイズ在庫あり
・BRIDGESTONE RP9 適正サイズ在庫あり
・RIDLEY NOAH FAST 適正サイズ在庫あり

はい、GIANTの2本柱が在庫面で落ちました。
特にPROPELは発表当時から人気で、問い合わせも多く頂くんですが、手に入りづらい状況が続いているみたいですね。
本当に流通してるのか疑わしいくらい、人気の割に乗っている人を見ない。
NOAH FASTはデザイン・カラーリング共に良かったのですが、いかんせん現行モデルのデビューが2018年と、
そろそろモデルチェンジを控えていそうなのでスルー。

二次選考(コスパ・デザイン等)
FACTOR OSTRO VAMが落ちました。
最新モデルであり、クリス・フルームとのスペシャルカラーも特別なアップチャージなし、
ポールスミスとのコラボカラー等も発表されるなど旬な感じもあり、一瞬盛り上がったのですが、
フレームだけで¥786500~¥891500とプライスがイカつい事。
そして最終的には「サイのグラフィックがリアルすぎてちょっと」が決め手?になりました。

敗因:リアルなサイ
ジャパンはディフォルメの国やけん。

最終選考
IZALCO MAXとRP9は価格帯が近く、デザインとカラーも同系統と、好みや予算で優劣が付きにくい状況でしたが、
RP9の持つストーリー性の強さでRP9に決定しました。
性能が高止まりし、コモデティ化が進むロードバイク界隈ですから、
一周してブランドヒストリーや物語性が購買意欲を掻き立てるような時代なのかもしれません。

RP9が発売されたのは、2021年の9月。
RP9は発表当時より国内のロードバイクユーザーから熱い注目を浴びていました。
BRIDGESTONEから、数多のメダルをもたらしたトラックバイクの遺伝子を受け継ぎ、
競輪の補助金を受けて開発された、同社初のエアロ系モデルが作られるらしいと。

また、発売前後に行われるWEBメディアや自転車雑誌、個人やショップ等のインプレッション記事でも軒並み高評価を得ており、
期待値が上がりに上がった状態で市場へ投入され、国内メーカーの新モデル発売においては異例の熱狂を生んでいたと思います。

で、実際どのような意見が出たかといいますと、

・ハイエンドバイクとしては中庸な仕上がり。
・VENGEの再現。
・(当時のベンチマーク的な存在であった)SL7やAEROADと大差ない。
・クセや特徴のない素直なフレーム
・最適解の後追い。

大体、こんな感じです。

私はそれを見て「凄いじゃん!やったな、ついにこの地点に到達したのか…」と思ったのですが、
世間的にはちょっと肩透かしというか、期待値が高くなりすぎたのか、思った程じゃなかったという声も散見されました。

当時のハイパーバイク達というと、(今もそんなに変わりませんけど)
VENGE、SL7、AEROAD、S5、DOGMA・F、SCULTURA、795BLADE・RSとかですよ。
上澄みの中の上澄み、ここと比肩されて大差ないという評価なのであれば大勝利じゃないか。
極東のドメスティックブランドですよ?
ツールでゴリゴリに研鑚されているバイク達と相対比較されている時点で凄いと思うけどな。

また、トラックバイクの血脈であれば過剛性になりそうなものですが、
落ち着いた素直な乗り心地なのであればバランス調整は成功だと思いますし。

現時点で世界最高のバイク!となって欲しかったんでしょうね。
気持ちはわかりますが、それはこれからの夢ではないでしょうか。

ので、個人的には凄く良いモデルだと思いますよ。
造形的にも洗練されていて美しいです。
ヘッドパーツのダストカバーから始まり、
トップチューブとシートチューブ交点までが完全にフラットになっている部分が特に秀逸。
シートクランプに専用のシリコンカバー等あった方が防水、防塵性的には良いでしょうが、
デザインと空力的には無い方がいい。適当にテープで隠しちゃいましょう。

とりあえず仮組みしてバランスを見ます。
マッシブなフロント三角に対して華奢なリア三角がいかにも現代バイクですね。
なんでこの形状に収斂したかっていう話は…長くなるのでここでは辞めときます。
もうすでに長いし。
聞きたい人は店頭で捕まえてください。
別にネットに転がっているような話ですが

Hさんのご希望により、
純正の専用ステム(110mm)から、DEDA(デダ)のSUPERBOX(スーパーボックス)ステム(100mm)に交換しました。
純正ステムが重いのと、ポジションを出す為です。230g(実測)から175gへ。
230gは確かに重たいですね。
しかしながらそのままでは互換性がない為、RP9の専用コラムスペーサー前方上側を少し削り、
ステム下側のラインと干渉しないように加工を施しています。

完成車付属のANCHOR CARBON AERO BARはハンドル後方にオイルラインを逃がす穴が設えてありましたので、
ステム下部のS-DCRカバーを使用せず、スマートに完全内装できました。
RP9純正のステムも、似たようなカバーを使ってのセミ・フル内装ですので、
最小の工程で、最大の美観を得られたんじゃないかと思います。(現時点ではですが)

そういえば、
リリース当初は、EASTONのハンドルが付属していましたので、このオリジナルハンドルの情報はNET上にほぼありません。
資料的な価値もあるかもと思いましたので紹介しておきますね。

余談ですが、このスパカズのバーテープ「PRIZMATIC」シリーズの
シルバー・オイルスリック・オパールの3色は美しくて対候性や耐摩耗性も高いんですが、
ものすごく硬くて、ありえないほど巻きにくい。
こう言われた人が想像する3倍は硬い、これほど引っ張り強度の高いバーテープを知らない。
複雑な形状のハンドル+硬いバーテープというだけで難易度が高かったというのに、
スプリンタースイッチもあるものだから(そう、スプリンタースイッチも付けたんでした。)
難易度がベリーハード→アルティメイトへ。
あまりの巻きにくさからメカニックが段々とイラつき、怒り、最終的によぼよぼと悲しそうな背中をしてました。
何千本とバーテープを巻いてきたプロの自信を打ち砕く悪魔。
※通常のモデルは普通に巻ける硬さです。

手首の当たる部分が面取りされており、人間工学的に良さそう。
デザインとしても粗いポリゴンみたいで恰好いい(伝わるかな…)
ハンドルセンターにちょっと嬉しい「B」マーク、まあ、DEDAのエアロカバーで隠しちゃうんですけど。

ホイールは手堅くDURA-ACE WH-R9270-C50

費用対効果抜群のホイールだと思います。
タイヤはフルモデルチェンジした同社のハイエンドロードタイヤ「新型EXTENZA」です。これの実力も気になる。

サドルもカーボンベースとカーボンレールだけで構成された、
超軽量カーボンサドルのTNI CARBON FLYへ換装。
驚異の89g 89g!?
サンマルコのASPIDEでも110g前後はあったはず。

CARBONDRYJAPANさんのビッグプーリーもオーダー中で、
それが届けば概ねカスタム完了。

目立つのがボトルケージ取り付け位置の低さ、よく言うマスの集中化ってやつです。
ダウンヒル中やコーナリング中の挙動が安定し、バイクの振りも軽くなります。

さて、次はポジションの移植なのですが、元になるフレームがPanasonicのFRTC21の550サイズ。
当時(2017とか)はフレームリーチやスタックやジオメトリ表に乗せるメーカーは少なく、
NETから発掘してきた当時のジオメトリ表にもやはり記載がありません。
が、現行のFRTC23と同じジオメトリっぽいので、これを参考値にしましょう。
(リーチ、スタック以外の比較出来る寸法が完全一致)

・FRTC21 550
トップチューブ長:542
リーチ:387
スタック:535(ヘッドパーツ込み552.7)

・RP9 51
トップチューブ長:548
リーチ:394(ダストカバー込み390)
スタック:528(ダストカバー込み540)

※リーチはBB中心から引いた垂線からヘッドチューブ上端までの距離
※スタックはBB中心から引いた水平線からヘッドチューブ上端までを測った距離

まず、双方のトップチューブ長からリーチを引いた数字を出します。
BB垂線からシートチューブ中央(サドル中央)までの数値です。
これに名称は付いていないようですので、便宜上「BB-サドル間距離」と呼ぶ事にします。

さて、RP9は珍しく、ヘッドセット付属のダストカバー込みでスタック・リーチの数値が書いてあります。
こういう記載の仕方をするメーカーは初めて見ました。
大変親切ですが、どっちの数値で考えるか悩みます。

スタックは実測で問題なさそうなのでどっちでもいいですが、ダストカバー込みのリーチは算出が難しそうですし、
今のところBRIDGESTONE以外のメーカーはダストカバー無しの数値でジオメトリ書いていると思いますので、
リーチはダストカバー無し同士で考えて行きます。

FRTC21:542-387=155mm
RP9:548-394=154mm
「BB-サドル間距離」はRP9の方が1mm短いので、着座位置と言うか膝の位置を合わせる為にサドルを1mm後ろへ。
ここは、可能であれば同じサドルを使いたいところではあります。
シートポストのオフセット量も比較して考えると、RP9のオフセットが14mmで平均が15mmなので、2mm引いても良かったかな?
悩ましいですが、一旦1mmにしておきましょう。

リーチ差は7㎜、自身が1㎜遠ざかるので、今までよりハンドルが8mm遠くなります。
12速世代のレバーフード部は旧来よりおよそ4mm長くなっていますので、それを足して12mm遠くなりますが、
ステムを付属の110㎜から100㎜へ変更しているので、最終的なハンドル位置は今より2mm遠くなりました。
2mm遠い程度は大丈夫でしょう。
まあ、ハンドルリーチの差があるので、多少はずれるんですが。

サドル高は、175㎜クランクから170㎜クランクになるので、5㎜上げて740㎜にします。
足長おじさんめ。(おじさんって言ってごめんなさい、私もおじさんですけど。)

これでサドル前後位置と高さはOK。
続いてハンドル落差を揃えますが、今より1cm下げたいとの事ですので、それを踏まえて作っていきましょう。
FRTCはスタック535のフレームにクリスキングのヘッドパーツが乗り、その上に30㎜分コラムスペーサーが乗っています。
クリスキングのトータルスタックハイトが31.4でロアスタックハイトが13.7ですので、
アッパースタックハイトは17.7、面倒なので切り上げて18㎜で考えます。
535+18+30=583
ですので、RP9の方は573を作れば良いはずです。

対してRP9のスタックが540(カバー込み)ですので、33㎜スペーサーを入れてあげれば良いのですが、
ハンドル形状差が結構あるんだよな…
RP9の専用ハンドルは肩がカクっと下がるデザインなのでブラケット取り付け位置がやや低くなりそう。

フォークコラム切ると後戻り出来ないので、逃げ道を作っておきたい。
35㎜分スペーサーを入れて、8㎜下げる形にしました。
削るのは後からでも出来る。

ただ、カットする前に測定してみた結果、
この状態で双方の地面からブラケット上面までの距離が概ね1cm差に収まりました。
OKOK、結果的にOKならOK。
(人間の目なんてアバウトすぎて、そもそも信用なりませんが)

さて、数値上はこれで近似値は出ているはずなんですが、どうでしょうね。
(後日、ポジションについて聞いたところ、違和感なしとの事でした。やったぜ。)

試乗会での実走、またはそれを記事にしたWEBメディアや雑誌のレビューは挙動や質感の確認、つまり性能の確認になります。
不具合の出やすさなども含めた使用感込みの、本当の性能が判明するのは1~2年経ってからなのです。
構造的に足並みが揃いようがないので仕方ないのですが、そういったレビューって思っている以上に、
探してもなかなか見つかりません。

今回のオーナーは頻繁に会う方なので、継続的に使用した人によるレビューが聞けるのが楽しみです。

長くなりましたが、異なるバイク間でのポジションの基本的な移し方のお話でした。

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