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Shimano(シマノ) WH-RS710 ディスクロード ホイール入荷のお知らせ

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Shimano(シマノ) WH-RS710 ホイール入荷のお知らせ

Shimano(シマノ) WH-RS710 ホイール入荷のお知らせ

2022/09/17

ディスクロードが一般化した恩恵の一つに、カーボンホイールが身近になった。というのがあると思います。
そうなった理由は二つあると思っていて、一つ目はリムにブレーキ面を作る必要がなくなったので製造コストが下がり、比較的安価になったこと。例えばですが自転車のホイールに20万円は訓練された自転車乗り(?)には「うん、まあ良いものはそんなもんじゃない?」といったところですが市井のサイクリストの感覚では狂気の沙汰です。常軌を逸している。買える買えないの問題の前に心理的なハードルが立ち上がります。ここがやや緩和されました。

二つ目は、山岳地帯でカーボンホイールを使う際のリスクが大幅に低減したこと。
リムブレーキ仕様のカーボンホイールの場合、必要以上にブレーキをかけ続けるとリム内部に熱がこもる状況に陥り、耐熱限界に達した場合は破損、変形が起きます。(一般的にアルミリムのブレーキ面と比較してカーボンのブレーキ面は耐熱性が低い為です。)
なので、主にダウンヒルにおいて必要最低限(は言い過ぎですが)のブレーキで済ませられるようライダーの習熟は必須であり、上級者しか扱いこなせないイメージがありましたが、この問題がディスクブレーキ仕様のホイールで解決し、カーボンホイールがあらゆる段階のユーザーの選択肢に入りました。リムでブレーキをかける訳ではなくなったからです。

で、身近になったという事は新規参入の敷居が下がったともいえる訳で、どうなったかというと玉石混合の事態を招きました。
今まではブレーキ性能の少なくない部分をリムのブレーキ面が担っていたので、安価で怪しげな製品は安全面の問題を自己責任で請け負わないとならなかったのですが、ディスクブレーキホイールの場合、ブレーキ性能がホイール側に左右されることは少なくなりました、主にローターとキャリパーの問題だからです。そしてその二つを作るのは大手コンポーネントメーカーなので…あとは言わずもがな。
ブレーキ性能の均一化が進んだ結果、いまいち走りの良くないカーボンディスクホイールが市場に増えます。

玉石混合と群雄割拠は似て非なる状態で、群雄割拠の状態は切磋琢磨を生みますが、玉石混合の状態はユーザーは外れを引く可能性が上がり、優良なメーカーは販売の機会損失を受けます。これは看過できない状態です。

こ、ここまでが導入だと…?長すぎやしないか、そして四字熟語を使いすぎじゃないか?中学生かな?続けますが…

さてやっと本題なんですが、コンポーネントと同時に105グレードの新型カーボンホイールRS710が発売されました。
昨年長い沈黙を破り登場したデュラエースのホイール群は、他社ハイエンド帯と比肩する性能を有しつつ、20万円なかばという戦略的価格で、そのリム形状を踏襲したアルテグラのホイールも15万円代、最近台頭してきている直販メーカーのホイールの価格帯です。その時にもシェアを取り戻そうという強い意思を感じたものですが、まさか105グレードも作ってくるとは思っても見なかった。

Shimano WH-RS710

税込定価¥123970から20%OFFの税込¥99180

自分で言うのもなんですが非常にお買い得だと思います。

今のところ、有名メーカーで10万円前後のカーボンホイールは存在しなかったので(知っている限りではそうです。)
その価格帯だといわゆる中華系であったり、2番手3番手のメーカーが鎬を削っており、ホイール界隈が前述したような玉石混合状態だったのですが、それらをまとめて駆逐しにきたなあという印象。ハイエンドからエントリーまで全く隙のない商品ラインナップで、小競り合いで勝とうとせずオセロの四つ角を取りに行くような姿勢に王者の風格を感じます。ちょっと怖いけど。

数値だけで見れるものでもないでしょうが正直、同価格帯だと頭一つ以上抜けたスペック。
業界最大手の容赦ないパワープレイに、中堅のホイールメーカーの悲鳴が聞こえてきそうです。
WH-RS710-C32-TL 1504g 32㎜ハイト 
WH-RS710-C46-TL 1612g 46㎜ハイト
推奨タイヤ幅は25~32Cで、幅広いタイヤ選びが可能、オールロード系に履かせても良いのでは。
どちらもリム内幅21㎜、外幅28㎜の現代的なリムプロファイルのチューブレスレディホイール。
デュラ・アルテホイールはストレートプルのスポークを使用していますが、105はJベンドスポークを採用し差別化を…まぁコストカットですね。
でも、一般的なスポークで修理できるのは利点でもあります。

近年のホイールやタイヤがワイド化してきた経緯を店頭でお話しする事も多いので、書き残しておこうと思います。
ちょこちょこ参考資料をコピペしてますがご容赦ください。

さて、なんでここまでワイドリム&ワイドタイヤ化が進んだのか、時系列を追ってお話ししていくと…

はじめに、タイヤやホイールの話になると、切っても切れないのが転がり抵抗の話。

前程として、タイヤの全転がり抵抗は、タイヤの変形損失、路面との擦熱による損失、空気抵抗による損失の3つに分けられますが、
変形損失が全体の90%程度を占めます。変形をいかに防ぐかが要ってことですね。

まず、自転車が前に進もうとする運動エネルギーは一部がタイヤの変形にあてがわれます。
タイヤは円筒状なので路面と接地する部分は平らに変形します。平らなものを転がすには、それなりのエネルギーが必要になりますが、タイヤには弾性回復力があり、平らな状態から元の円筒状に戻ろうとする力が生じます。
この回復力が大きければ転がり抵抗は小さくなり、逆に弾性回復できずにエネルギーを損失すれば、転がり抵抗が大きくなります。
接地面から離れたタイヤはゴムの弾力と空気圧によってもとの形に戻りますが、
この際に先ほどとは逆に変形エネルギーは運動エネルギーに返還されるものの、100%が返却される訳ではありません。
いくらかのエネルギーは熱に変換され、空気中に放出されます。

このように、ゴムのような弾性を持つ物質が変形するたびに熱に変換され、消費するエネルギーの損失のことを「ヒステリシスロス」と呼びます。

はい、ようするに変形量を抑えてあげればヒステリシスロスは改善されるわけです。
2015年くらいを境にロードバイクのタイヤ幅の主流が23Cから25Cへ移り変わりました。
同一空気圧と同一体重であれば、25Cの方が全体の変形量が少なくヒステリシスロスが低い、という実験結果が出たからです。
イメージの上では、タイヤが太くなれば接地面積が増え、転がり抵抗が悪化しそうですが、現実にはタイヤが太くても細くても
同じ空気圧、同じ負荷重量であれば接地面積に大差はなく、前後に短く横に広く変形する太いタイヤより、前後に長く変形する細いタイヤの方が変形量が多い、という事です。

で、このあたりで25Cに最適化という名目でホイールのリム内幅が15㎜幅から17㎜幅へ広がりました。
当時は17㎜でもワイドリム化だ!と騒いでいましたが、現在から見ると全然細いですね。なんか可愛らしい話。

この時点では、転がり抵抗=ヒステリシスロスの認識です。

エネルギー損失を低減するには、
①タイヤの接地に伴う変形量を小さくすること、②変形する部材の体積を小さくすること、③エネルギー損失の少ない材料を使用すること等が有効です。①はタイヤの空気圧を上げれば,タイヤの変形量は小さくなって転がり抵抗は減少します。②はタイヤのトレッド面のゴムを薄くすれば、変形するゴムの体積が小さくなり転がり抵抗が低減しますが、それぞれデメリットも発生します。空気圧を上げると、タイヤの路面からの衝撃吸収力が低下するために乗り心地が悪化しますし、後述しますがむしろ遅くなります。トレッドのゴムを薄くすれば摩耗寿命に影響を与えます。逆に、その日さえ持ってくれればいい完全なレース用タイヤなんかは摩耗寿命と引き換えに速度を得ているわけですね。なので③を工夫する方が現実的で、シリカやグラフェン等、新しい添加剤の開発や利用が盛んです。

確かにタイヤの空気圧を上げれば,タイヤの変形量は小さくなって転がり抵抗は減少します。
このようなデータは長年存在していて、これのせいで「空気圧は高ければ高いほど速い」と長い間信じられてきました。
しかし空気圧を上げると、路面からの衝撃吸収力が低下するためにタイヤは跳ねるばかりで全く進みません。
これは皆、体感として知っていましたが、データー上では速いはずだと言われているので、混乱を招きます。

また、跳ねまくって進まないが必死にペダリングしている状態は、人間の感覚として「頑張ってはいる」ので速く進んでいるという錯覚を招くのも、この混乱を助長させます。※トラック競技では10気圧を越える高い空気圧が今でも常用されていますが、トラック競技の路面は人工的に作られたウルトラフラットな路面なので例外です。トラック競技とロード競技で意味合いが変わるのに空気圧だけ混同していた時期が長かったのも事態を混乱させていた要因だと思います。

エンジニアのインタビューでも触れられていて、その時はフレーム制作の話でしたが根底は同じだと思います。
〝ロードレーサー達は、衝撃が身体に伝わりやすい状態の方が速いと感じます。振動を感じられたらそれは速く走れている証拠で、それを感じなければ遅いのだと。しかし、快適な状態の方が実際に速いことをパワーメーターが証明してくれます。問題は、速く快適な状態は遅く感じてしまうこと。速く走るためには遅く感じる事が必要だと伝えるのが大変です〟
はい、見事に感覚派と理論派で不和が生じています。確かに数値で出しても納得してくれないのは頭を抱えそうです。

そして2016年頃、ポンプで有名なSILCAが「インピーダンスロス」という考え方を提示します。
現実世界のアスファルト路面は全然フラットじゃありません、細かい凹凸の繰り返しですし、トラックが作った轍なんかもあります。
SILCAはアスファルト表面の粗さに起因して、バイクが揺さぶられる際の抵抗を「ローリング・インピーダンス」という言葉で説明しました。アスファルトの上をバイクが進むにあたって、地面からの突き上げや、上下運動によるエネルギー損失が発生しているよね。と。

綺麗に舗装された路面や、測定用のローラーの上では、空気圧を上げていくと転がり抵抗が低減していきます。タイヤは太く、空気圧は高い方が数値は良い物が測定されます。
しかし、現実のアスファルト路面を走る際には、空気圧を上げていくと転がり抵抗が増し始める分岐点が出現します。
この分岐点が「車体が跳ね始めるポイント」で、以降、空気圧を上げると転がり抵抗は増し続けて行きます。
インピーダンスロス、バーティカルコンプライアンス、言い方は様々ですが「縦方向の振動吸収性」も転がり抵抗の低減に必要だ。
という考え方が浸透し、転がり抵抗=ヒステリシスロス+インピーダンスロスという認識に変わっていきます。
2018~2019年くらい?リム幅は19㎜が出始めます。

その後、リム内幅が1㎜広がる事に、0.3BAR空気圧を下げてもヒステリシスロスは据え置きというデータが発表され(ソースは忘れましたが)スピードを犠牲にせずに振動吸収性が上げられるという事でここでまた一段階ワイドリム化が進み、20㎜幅を越え始めます。
チューブレスタイヤの常用化も、低圧運用の利点をサイクリストに浸透させる要因になったと思います。

今ここです。

ふー、なんかやたら長くなりましたが、今回はSHIMANO WH-RS710 ホイールのご紹介でした。
インターネット店 Shimano WH-R710からもご注文頂けますので、遠方のお客様はご活用いただければ幸い幸いでございます。

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