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GIANT(ジャイアント) TCRについて語りたい。

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GIANT(ジャイアント) TCRについて語りたい。

GIANT(ジャイアント) TCRについて語りたい。

2021/06/26

現代のロードバイクのフレーム形状は、ほぼ「スローピングフレーム」です。
スローピングフレームのロードバイクが初めて世に出たのは1996年と、20年以上前の話ですので、どちらかと言うと、「昔はホリゾンタルフレームがメジャだったんでしょう?」という方のほうが多いのではないでしょうか?私自身もロードバイクに興味を持った時にはすでにスローピングフレームが主流となって久しく、アカデミックで美しいなと思うことはあれど、ホリゾンタルのフレームを所有した事はありません。

何故、ホリゾンタルフレームが最先端の世界から退いたかと言うと、単純にスローピングフレームの方に優位性があったからです。
動力伝達と効率性、更にはシートポストを長く出せる為に快適性までが向上しました。
プロトンは勝利の為に、末端のユーザーはより質の良いライドを求め、スローピングフレームはロードバイクの世界に浸透していきました。

スローピングフレームのロードバイクを初めて世に出したのは自転車業界の巨人、GIANT(ジャイアント)
そのバイクの名は 「Total Compact Road」=「TCR」
TCRは現代ロードバイク全ての共通祖先と言えると思います。
「GIANT(ジャイアント)が始めなくてもいずれは何処かのメーカーが世に出した」 「GIANT(ジャイアント)というよりも、マイク・バロウズ(デザイナー)の功績だ」と言う人もいるでしょうが、私は「パイオニアは無条件に偉い」と思っています。

はい、前置きが長いわ堅苦しいわで申し訳ありません。
と、いう訳で本日は2台、TCRのご紹介をさせて頂こうかなと思います。
1台目はこちら「TCR ADVANCED PRO 1 DISC」 完成車重量7.4kg(Sサイズ)
色味はマットローズウッドと言うカラー、ドライフラワーのバラのような雰囲気で上品です。
Sサイズ 適応身長165㎝~175㎝ 税込定価¥495000からのウエムラ価格

こちらのモデルがですね、金額で見ると決してお安くはないのですが、内訳を見ると何と言いますか、パッケージとしての完成度が良い方向に異常でして、セカンドグレードのカーボンフレームに、油圧のアルテグラ、前後で1452gのカーボンホイールに左右独立型のパワーメーターまで付いてくるんです。
世界最大の規模を持つ自転車メーカー、コンポーネント以外のあらゆる種類の自転車パーツを自社製造しているGIANTだからできるパワープレイ。

リムブレーキからディスクブレーキへの乗り換えを検討している中級者くらいのユーザーをターゲットにした戦略モデルだと思います。
乗り換え需要の市場は各社狙っているでしょうから、他メーカーでも同じくらいの価格帯で最初から良いホイールを付けてくるモデルはチラホラあるのですが、流石にパワーメーター付属はGIANTだけだと思います。(2021/6/17現在)

パワークランク標準装備

GIANT POWER PRO 52×36 170mm
パワーメーターはクランク裏に配置されており、クリーンなルックス。
1回の充電で100時間稼働。ケイデンスセンサーも兼ねます(Bluetooth Smart/ANT+対応)

左右型のパワーメーターは安価な物でも8~9万円前後する上に、走行性能への寄与がないので導入を躊躇うアイテムですが、費用対効果は非常に高く、FTP値の把握やSSTトレーニング等、パフォーマンス向上を目標にするサイクリストにとってはもはや必須のアイテムとなりました。また、シリアスに走らない方にとってもペダリングの乱れ等を可視化し矯正する事ができますので、より快適で健康的なライドが可能になります。

カーボンチューブレスホイール

 

SLR1 42 DISC HOOKLESS WHEEL 
F/Rで1452gとかなり軽量なカーボンチューブレスホイールです。
※使用できるタイヤは指定がありますのでご注意下さい。
リンク貼っておきます

2台納車されたのですが、これを書いている途中に1台売れていきました。どう考えても安いもんなあ…
実は私も個人的に所有していて、少し具体的な使用感がお話しできます。

オールラウンドなモデルではありますが、どちらかと言うと登坂性能にパラメータを振っているモデルだと思います。
緩斜面をシッティングで回している時もスルスル良く進むのですが、急斜面でダンシングした時の押し出すようなトラクションが特筆もので、このような挙動は唯一無二、TCRの強みだと思います。(あくまで私の少ない経験の中での相対比較に過ぎませんので悪しからず)
DISCロードは他に所有した事がないので、TCR特有のものなのか、DISCロード全般の特性なのか判断ができませんが、下りの安定感はリムブレーキモデルより上だと感じました。重量物がフレーム下部、前後のホイールを繋いだライン上に集まった結果、低重心化が進んだのだと想像します。
やはり、登って下ってが楽しいモデルだと思います。

新世代ロードは空力を重視してケーブル類の内装をしているモデルが多いですがTCRは空力性能と整備性、コックピット周りの軽さを天秤にかけ、外装としたのでしょう。
同社のエアロロードPROPELではフル内装にしているので、やろうと思えば出来ると思うのですが、そこをあえてやらないという事には理屈があるはずで、恐らくTCRの主戦場になるであろう(言い方かっこよ)峠や山岳の速度域で、空気抵抗はそこまで支配的ではないという判断なのではないでしょうか。
で、あれば軽さや整備性の高さを優先するのは達見です。

TCR ADVANCED 2 KOM

2台目はこちら
TCR ADVANCED 2 KOM 完成車重量7.9kg(Sサイズ)
リムブレーキVer
ADVANCED PROと同じカーボンフレームに、OverDrive規格のカーボンフォークを採用したパフォーマンスモデル。
サイズXS 適応身長155㎝~170㎝ R7000の105組
税込定価¥231000からのウエムラ価格

んー、ロゴのブルーがなんとも言えない良いブルーなんですが写真に出ないですね。
実物の方が綺麗です。

1台目の時に書きそびれていたのですが、TCRは2021年モデルからリム、ディスクともにフレームが刷新されています。
現行のTCR(以降第9世代と表記します)はパッと見、前作の第8世代と大差ないように見えてしまうのですが、全体のフォルムが似ているだけで、細部は大部分が変更されています。
翼断面形状だったヘッドチューブ・シートチューブ・シートポスト・フロントフォークをカムテール形状へ、標準的な600㏄のボトルを取り付けた状態で風洞実験を行い設計されたダウンチューブは第8世代と比べると1㎝ほど幅広になっています。
BMCも同じような解釈をしていましたね。
フロントフォークから空気の流れを安定させることで全体のエアロを出していく感じの設計です。

TCRって、20年近い歴史があるのですが、一貫してTCRなんですよ、何言ってるのかわからないと思いますが、モデルチェンジをするたびに、別物になっていくモデルってあるじゃないですか。それはそれで正しいとも思うんですが、TCRはTCRの面影を残したまま、丁寧に丁寧に(新宝島)研鑽され続けてきた訳です。
感覚の話で恐縮なのですが、私がそういう物が好き、というだけのお話しです。

 

 

良く見ると、カムテール

余談を挟みましたが(全体的に大きな余談のようなものですが)
このように空気抵抗を突き詰めていった結果、200Wで40㎞の距離を走行した際、第8世代と比べ34秒のタイム短縮をしていると謳っています。
(※最上位グレードのTCR ADVANCD SLの話ですが、造形はPROグレードもADVANCEDグレードも同じですので、重量以外の恩恵は同じく得られていると思います。)
「な~~んだ、またそういう話か…」と思った方、ちょっと読み直して頂いて…「200w」で「40㎞の距離」ですよ。
40㎞/hというプロ選手の目線ではない。
「200Wで40㎞の距離を走行した際」を具体的に言うと、巡行速度で32km/hくらいです。
そこそこトレーニングして乗っているサイクリストくらい。
ユーザーの視点で説明してくれているのが分かりやすいですよね。こういう所が好きです。

2019~くらいからのロードバイクは本当に1段階速くなったなーと思います。
それはエアロ化の賜物なのですが、時代の流れと言うか、最新の解釈で作られたフレームはDISCロード用しかなかったりするのですが、TCRは第9世代でもリムブレーキVerを作ってくれているのが素晴らしい。
機材より足!という方もいますし、条件が同じならそれはそうなんですが、ツール・ド・フランスが始まった頃、優勝者の平均時速は25km/h程度。 現在では機材の進化もあり、40km/h前後。だそうです。すご
今年のツールも開幕しましたね!今年はどんなドラマが繰り広げられるのか楽しみですね。
本日は新型TCRのご紹介でした!

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